相続には、被相続人の財産の維持や増加に対して、特別な貢献をした方への「寄与分」の制度があります。
自分がそれを受ける権利があるかどうかを知るためには、詳しい要件を把握しておく必要があるでしょう。
そこで今回は、相続の寄与分とはなにか、認められる要件と特別寄与料について解説します。
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相続の寄与分とは?
遺産分割協議をする状況になって、初めて「寄与分」について聞く方もいるかもしれません。
ここでは、寄与分の基礎知識として、寄与分の概要と計算方法、請求する方法について解説します。
寄与分の概要
寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に貢献した方が、取得できる遺産が加算される制度です。
たとえば、親の家業の手伝いをしていたり、自宅介護をしていたりする方は、条件に当てはまる可能性があります。
相続分がどのくらい増えるかは、認められる貢献度によって異なります。
寄与分を受けるためには、自ら主張し、合意を得ることが必要です。
寄与分の計算方法
寄与分の計算は、以下の手順でおこないます。
●遺産から寄与分をみなし控除し遺産を計算する
●法定相続分にしたがってみなし遺産を分割する
●寄与分を受ける相続人の相続分に加算する
また、寄与分には、上限が設けられるケースがあります。
遺産の総額が少ないにも関わらず、高額な寄与分を設定すると、他の相続人に不公平が生じるためです。
そのため、遺産が少ない場合は、寄与分を受ける相続人の取得も少なくなるとされています。
寄与分を請求する方法
寄与分を請求する方法は、主に以下の3つです。
●遺産分割協議
●裁判所による調停
●裁判所による審判
遺産分割協議の話し合いだけで寄与分が決まる場合は、比較的短期間で解決できるケースが多いです。
相続に詳しい弁護士に相談すると、妥当な解決方法の提案や示談交渉の代理をしてもらえて、協議がよりスムーズに進む場合があります。
話し合いで折り合いが付かない場合は、裁判所に調停を申し立てる必要があります。
調停で寄与分の主張をする場合は、寄与分の立証を裏付ける資料の提出が必要です。
寄与分の主張が妥当かどうかについても、弁護士に相談すると良いでしょう。
調停とは、裁判所を通した話し合いですが、それでも折り合いが付かない場合は、審判を申し立てることもできます。
審判とは、裁判所が最終的な決定を下すことを指します。
裁判所への申立ては、時間が経過するごとに立証が難しくなっていくため、早めのほうが有利です。
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相続の寄与分が認められる要件
寄与分を受けたいと考えている場合は、基本的なルールを把握する必要があります。
ここでは、寄与分が認められる5つの要件と5つの型、時効について解説します。
寄与分が認められる5つの要件
寄与分が認められる5つの要件は、以下のとおりです。
●相続人であること
●被相続人の財産の維持や増加に貢献したこと
●特別寄与をしたこと
●無償での貢献である
●一定の期間以上貢献している
寄与分は、相続人のみ受けられるのが原則です。
事業資金を援助した相続人ではない親族や療養看護に貢献した内縁の妻などは、寄与分を受けられません。
貢献の経緯と財産の維持または増加には、因果関係がある必要があります。
たとえば、看護をしていた場合は、それが医療費の軽減につながっていた経緯を示す必要があるでしょう。
親子間の日常的な手伝い程度の行為では、寄与分の主張が認められない可能性があります。
また、短期間の行為や対価を受け取っていた場合にも、寄与分の主張は認められません。
寄与分の5つの型
寄与分の5つの型は、以下のとおりです。
●事業従事型
●金銭出資型
●療養看護型
●扶養型
●財産管理型
いずれの型でも共通するのは、無償である点です。
事業従事型の場合でも、家業を無償で手伝っていたなどの貢献が必要です。
他の従業員と同様に給与を受け取っていた場合には、寄与分の条件に当てはまりません。
また、扶養型や財産管理型は、必要性が問われます。
十分な収入がある被相続人に対する扶養や管理会社が管理している不動産の清掃など、必要性が感じられない行為については、貢献として認められません。
また、親族であれば当然と見なされるレベルの貢献についても、当てはまらないため注意が必要です。
寄与分の時効
寄与分に時効はありません。
たとえば、何十年前におこなった介護行為であっても、寄与分を受ける権利があるとして主張できる場合があります。
ただし、寄与分の主張は、遺産分割が終了する前までにおこなう必要があるため、実質的には期限があります。
また、遺産分割が終了していない場合でも、何十年も前の行為を証明することは困難になる可能性があるため、早めの主張が重要です。
後述する特別の寄与の時効は、相続の開始及び相続人を知った時点から6か月以内もしくは相続開始から1年以内とされています。
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相続の特別寄与料とは?
相続の特別寄与料とは、2019年の民法改正によって、新たに創立された制度です。
ここでは、特別寄与料の概要と寄与分との違い、相続税について解説します。
特別寄与料の概要
従来の寄与分では、相続人ではない親族は主張する権利を持ちませんでした。
たとえば、夫の親の介護を長年にわたって妻が担っていても、寄与分の主張ができず、貢献が報われないケースが多くありました。
そこで、新たに創立された特別寄与料の制度では、特別の寄与をした被相続人の親族も寄与分の請求が可能になっています。
親族に当たるのは、「6親等内の血族、3親等内の姻族」であり、広い範囲の親族が特別寄与料を主張できるようになりました。
寄与分との違い
特別寄与料と寄与分の大きな違いは、要件が「療養看護その他の労務を提供」した場合に限られる点です。
通常の寄与分で認められる金銭等出資型などは、主張できないため注意が必要です。
また、相続人ではない親族は、相続人の間の遺産分割協議にはくわわりません。
遺産分割とは別途、相続人たちに対して特別の寄与に見合った金額の請求をすることになります。
特別寄与料の請求の時効は短いため、遺産分割協議がまとまるのを待っていると、期限が過ぎてしまう可能性もあるため注意が必要です。
相続人が複数いる場合は、各相続人は特別寄与料の額に対し、共同相続人の相続分を乗じた額を負担します。
なお、被相続人が遺言書などにより、遺産の分配方法に関する指示をしている場合でも、寄与分の主張は可能です。
特別寄与料の相続税
特別寄与料を取得すると、相続税がかかる点にも注意が必要です。
相続人以外の方が相続財産を取得した場合、2割加算が適用されます。
税金の申告についても忘れないように注意が必要です。
寄与分や特別寄与料は、相続人の間の公平性や被相続人に対して、貢献した他の親族が報われるための制度として備えられています。
しかし、主張や請求をすることによって、当事者間で事実関係の争いが生じる可能性も否めません。
客観的また法的に根拠のある主張をするためには、弁護士などの専門家の助けを受けることがおすすめです。
自分の正当な権利を主張しつつ、感情的な対立を招かないよう慎重に事を進めることも大切でしょう。
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まとめ
相続の寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に貢献した方が、取得できる遺産が加算される制度です。
寄与分の要件には、無償での貢献であることや一定以上の期間貢献していることなどが含まれます。
2019年に新たに創立された特別寄与料の制度では、相続人ではない親族も被相続人に対する貢献について請求ができるようになっています。
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KYODOハウジング メディア 担当ライター
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