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取得費加算の特例とは?相続税の軽減や適用できないケースについても解説

カテゴリ:相続について

取得費加算の特例とは?相続税の軽減や適用できないケースについても解説

取得費加算の特例は、相続した不動産を売却する際に相続税の一部を取得費に加算できる制度です。
譲渡所得税を軽減できる点が大きな特徴ですが、適用要件や他の税制との併用など、いくつかの留意点があります。
この記事では、取得費加算の特例の概要や適用ケースについて解説しますので、ぜひご参考になさってください。

「取得費加算の特例」とは?

「取得費加算の特例」とは?

相続した不動産を売却する際、税負担を軽減できる「取得費加算の特例」という制度があります。
この特例を活用することで、譲渡所得税の負担を減らすことができるでしょう。
まずは、この特例の概要、適用要件、そして計算方法について詳しく解説いたします。

概要

取得費加算の特例とは、相続や遺贈により取得した財産を一定期間内に譲渡した場合、支払った相続税の一部をその財産の取得費に加算できる制度です。
これにより、譲渡所得の計算時に取得費が増加し、結果として課税対象となる譲渡所得が減少します。
相続した土地を売却する際に特例を適用すると、相続税の一部を取得費として計上でき、譲渡所得税の負担を軽減できるのです。
この制度は、相続財産を売却する際の税負担を和らげる目的で設けられています。
たとえば、被相続人が住んでいた土地に加えて複数の相続財産を取得した場合、それぞれを売却するときに加算できる相続税額が異なるため、全体像を把握した上で計画的に進めることが重要です。
相続税の納付額が多いほどメリットが大きくなる傾向がありますが、他の制度との重複条件にも注意が必要です。

要件

取得費加算の特例を適用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
1.相続や遺贈により財産を取得したこと
生前贈与など他の方法で取得した財産は対象外です。
2.相続税を納付していること
相続税が課税されなかった場合、この特例は適用できません。
3.相続開始から3年10ヶ月以内に譲渡すること
相続開始日(被相続人の死亡日)の翌日から起算して、相続税の申告期限(10ヶ月)後3年以内に譲渡する必要があります。
たとえば、2025年2月に相続が発生した場合、その申告期限から3年以内に譲渡しなければなりません。
売却時期がズレると特例を活用できなくなる可能性があるため、不動産売却のスケジュール管理を十分慎重におこなう必要があります。
そのため、早めの売却戦略が重要となる点を覚えておきましょう。

計算式

取得費に加算する相続税額は、以下の計算式で求められます。
その者の相続税額 × (その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の相続税評価額 ÷ その者の取得財産の価額の合計)
具体的な数値例で説明すると、相続税として1,000万円を納付し、取得した全財産の相続税評価額合計が5,000万円、譲渡した財産の評価額が2,000万円の場合は、1,000万円×(2,000万円÷5,000万円)=400万円が取得費に加算されます。
これにより譲渡所得が減少し、譲渡所得税の負担を抑えられます。
また、譲渡した不動産以外にも相続財産を複数所持していた場合は、各財産の相続税評価額を合算して計算する点に注意が必要です。
単一の不動産だけを相続したケースとは異なり、計算過程が複雑になるため、専門家への早期相談が推奨されます。

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「取得費加算の特例」が適用できないケースについて

「取得費加算の特例」が適用できないケースについて

相続税の「取得費加算の特例」は、相続した財産を売却する際に相続税の一部を取得費に加算して譲渡所得税を軽減できる制度です。
しかし、以下のような特定の状況では、この特例が適用されない場合があります。

贈与

原則として、贈与によって取得した財産には「取得費加算の特例」は適用されません。
また、生前贈与で受け取った不動産を売却した場合は対象外となります。
ただし、前述のとおり「相続時精算課税制度」や「3年以内加算制度」を利用して実質的に相続財産とみなされる場合には、この特例が適用されることがあります。
なお、贈与で取得した財産については、被相続人の生前に同居など関係があったとしても通常は対象外となる点に注意が必要です。
これは無償での財産移転が前提となる贈与の性質上、相続税の課税対象としての取り扱いが完全に異なるためです。
しかし、相続時精算課税制度では相続扱いとなり、適用が可能となるケースもあります。

夫婦

夫婦間の相続では、「配偶者の税額軽減」が適用されると相続税が課されないケースがあり、その場合は取得費加算の特例も適用されません。
配偶者が相続した財産を売却する際には、この点を念頭に置く必要があります。
夫婦間の相続では、配偶者の税額軽減により相続税がゼロとなる場合が多く、その結果として取得費加算の特例が利用できないことがあるのです。
また、売却時点で配偶者が居住用財産を継承しているケースでは、取得費加算に代わる他の優遇制度が関係してくる可能性があります。

相続時精算課税&3年以内加算制度

相続時精算課税制度や、3年以内加算制度を利用して相続税が実際に発生する場合には、取得費加算の特例が適用される可能性があります。
ただし、相続税が発生しないときには特例の対象外です。
これらの制度を利用する際は、相続税の発生有無をしっかり確認することが大切です。
相続時精算課税制度では、生前贈与を相続財産として再計算もするため、相続税が発生すれば取得費加算を検討できます。
ただし、3年以内加算制度で生前贈与分が課税対象に含まれる場合は、評価時点が異なる点にも留意しましょう。
実際に納付した相続税が少額の場合は、その分加算額も小さくなる可能性があります。

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「取得費加算の特例」と併用できる税制

「取得費加算の特例」と併用できる税制

相続した不動産を売却する際、「取得費加算の特例」は税負担を軽減する有効な制度です。
さらに、以下の税制と併用することで、より大きな節税効果を得られる場合があります。

3,000万円特別控除

3,000万円特別控除は、居住用財産を譲渡した際に譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度です。
取得費加算の特例と併用が可能であり、相続した不動産が被相続人の居住用だった場合は、適用を検討する価値があります。
ただし、売却した年の前年や前々年に同じ特例を適用していないこと、売主と買主が特別な関係ではないことなどの要件を満たす必要があります。
居住用財産の3,000万円特別控除を使うことで、譲渡所得を大幅に圧縮できることも期待できるでしょう。
ただし、被相続人の居住用だったかどうかや、空き家の期間など、実態に応じて要件を満たす必要があります。
また、3,000万円控除は繰り返し利用できない制限があるため、直近で適用した場合は再度使えない可能性があります。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例を適用すると、相続税評価額が下がり、相続税が少なくなるケースがあります。
ただし、その結果として取得費に加算できる相続税額も減る可能性があります。
さらに、被相続人が居住していた宅地の適用要件には規定があり、申告期限内に宅地を保有するなどの条件を満たすことが必要です。

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まとめ

取得費加算の特例は、相続した不動産を売却する際の税負担を軽減できる有用な制度です。
相続税を実際に支払っていることや、相続開始から3年10ヶ月以内に譲渡するといった要件を満たす必要がありますが、特例を正しく活用すると譲渡所得税を抑えられます。
また、3,000万円特別控除や小規模宅地等の特例と併用することで、さらに大きな節税効果が期待できます。
ただし、贈与で取得した財産などは適用外となる場合もあるため、事前に要件を十分に確認し、計画的に対策を講じることが重要です。

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