配偶者居住権は残された配偶者が家に住み続けることができる、配偶者保護のために定めたれたものです。
家族の状況が変化して不動産を売却しようとしたとき、配偶者居住権が設定されていると、配偶者保護の観点から、売買が制限されることがあります。
ここでは、不動産売買が想定される場合に、配偶者居住権を設定した場合のデメリットとその対策についてご紹介いたします。
配偶者居住権が設定された不動産を売却する場合:配偶者居住権とは?
相続が発生した場合、相続割合に応じて分配する必要があります。
ここで、相続が不動産の場合、相続した配偶者は今まで住み続けた自宅を現金化して、相続分配する必要がありました。
相続と同時に、生活の本拠となる住処を手放すことになる不具合を解消するため、不動産を売却しなくとも住み続けることができるように法整備されました。
不動産を相続した配偶者がそのまま住み続けられる権利を配偶者居住権といいます。
配偶者居住権が設定された不動産を売却する場合:親の承諾なしでは売却不可
配偶者居住権が設定された不動産を売却する場合には、配偶者の承諾なしに不動産を売却することができません。
配偶者保護の観点から、法の趣旨に合致したものといえます。
相続後、配偶者である親の病気や認知症の発症で病院に長期間入院するなど、家族の状況が変化していく可能性も考えられます。
家を売却して入院費を確保するなど、不動産を現金化する必要が出てくる場合もあるかもしれません。
親に認知症が発生した場合など適切な判断が難しい状態の場合でも、配偶者居住権が設定されていれば、配偶者保護の観点から不動産を売却することが困難です。
配偶者である親の承諾なしに不動産を売却することができないからです。
不動産を売却する場合には、成年後見人を設定して適正な手順にしたがい、不動産を売却する必要がありますが、不動産の売却を認めてもらうための手間と時間が多くかかります。
配偶者居住権が設定された不動産を売却する場合:注意すべきこと
配偶者である親の承諾なしで不動産を売却することは難しいため、配偶者居住権を設定した配偶者に認知症に兆候がないかなど、親の健康状態や精神状態に注意する必要があります。
健康状態や精神状態に変化が見られる場合には、判断能力があるうちに、配偶者である親に配偶者居住権の設定を解除してもらうよう説得する必要があります。
まとめ
配偶者居住権は、不動産を相続した配偶者がそのまま住み続けられる権利で、配偶者保護を目的として設定されました。
配偶者保護の観点から、配偶者の承諾なしに不動産を売却することができません。
配偶者である親に認知症が発生した場合などであっても、親の承諾なしに不動産を売却することはできません。
成年後見人の設定など、適正な手順をとって売却することも可能ですが、手間と時間がかかります。
親の健康状態、精神状態を確認し、状態の悪化が見られる場合には、適正な判断ができるときに、配偶者居住権を手放していただくよう話し合う必要があるでしょう。
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