事業を廃業するときはさまざまな手続きが必要であり、法人名義の不動産の処分もそのひとつです。
法人名義の不動産についても、廃業するからには売却など何らかの方法で処分しなければなりません。
そこで今回は、廃業する法人名義の不動産は売却できるのか、売却の方法や流れについてご紹介します。
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廃業する法人名義の不動産は売却できるのか
事業を畳んで廃業するときは、法人名義のさまざまな財産などを処分する必要があります。
一方で、事業を廃業するにもかかわらずその法人名義の不動産が売却できるのか気になる方は少なくないでしょう。
基本的に、法人名義の不動産であっても第三者への売却は可能です。
ただし、売却したい不動産の状況によって売却できるかどうかは異なります。
抵当権が設定されていなければ売却できる
法人名義の不動産は、別の事業者などによって抵当権が設定されていない場合、そのまま売却可能です。
抵当権は、不動産を担保に融資を受ける際に設定される債権者の権利です。
抵当権が設定された不動産は、債務の返済が滞ると債権者によって差し押さえが可能となります。
一般的には、不動産を購入する際に融資を受けることで設定され、融資なしで購入した不動産には抵当権は設定されません。
また、融資を受けて購入した不動産であっても、すでに債務を完済している場合は、抵当権を解除し売却することができます。
このような不動産は、個人所有の土地や住宅と同様に、買主を探して売却することが可能です。
売却に許可が必要なケースもある
法人名義の不動産に抵当権が設定されており、債務を完済していない場合、スムーズな売却は難しいです。
抵当権が設定されている不動産を売却するためには、債権者である金融機関などから許可を得る必要があります。
このような場合、不動産の売却代金で残りの債務を返済するために任意売却がおこなわれることが多いです。
不動産は抵当権を外さないと売却できないため、任意売却をおこなうには金融機関の許可が必要です。
一方で、任意売却は金融機関にとって十分な債権を回収できないリスクを伴うため、交渉が複雑になります。
廃業に伴って法人名義の不動産を任意売却する場合、任意売却に慣れた不動産会社を選んで交渉を依頼する必要があります。
また、廃業時には清算結了が必要であり、清算結了前に不動産を売却しなければなりません。
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廃業する法人名義の不動産を売却する方法
廃業する事業の法人名義の不動産を売却するには、いくつかの方法が存在します。
それは「第三者の買主に売却する」「社長自身が売却する」「不動産だけでなく会社ごと売却する」の3つです。
第三者の買主に売却する
廃業する法人名義の不動産を売却する方法の一つは、個人名義の不動産と同様に、第三者の買主への売却です。
法人が売主となり、不動産の購入希望者を探して売買契約を締結します。
これはオーソドックスな方法ですが、売却までに時間がかかるため、廃業までの期間によってはタイトなスケジュールになる可能性があります。
売却までの時間を短縮しようとすると、売却価格が相場より安くなってしまうことがあるでしょう。
任意売却では融資の完済が遅れる可能性があるため、できるだけ時間をかけて高値で売却することをおすすめします。
社長自身が買い取る
事業を畳んで廃業する際、社長自身が法人名義の不動産を買い取ることも可能です。
ただし、法人規模で所有していた不動産を個人で買い取ろうとすると、価格が高くなることがネックになる場合があります。
とはいえ、該当する不動産の相場よりも安価な価格で買い取ることはおすすめできません。
通常の相場よりも安すぎる価格で買い取ると、不動産がみなし贈与と判断される可能性があるためです。
みなし贈与と判断されると、買い取った社長が贈与税を納めなければならなくなります。
任意売却などのケースでは、安い価格で買い取ってしまうと返済が難しくなるおそれがあります。
また、株主に配当できる金額も減少し、廃業に伴ってクレームがつけられる可能性も高まるでしょう。
会社ごと不動産を売却する
事業を廃業する際、さまざまな手続きが煩わしいと感じる経営者は多いでしょう。
そのような場合、法人名義の不動産と会社そのものをまとめて売却する方法を検討してみると良いかもしれません。
不動産と自社の株式をまとめて売却することを「不動産M&A」と呼び、廃業に伴う清算業務が不要となります。
一方で、事業が廃業になると、その会社の需要は低くなります。
需要が低い会社は売れにくいため、思ったような形で売却できない可能性が高くなるでしょう。
会社や不動産を売却する際は、自社の状況やタイミングを十分に検討する必要があります。
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廃業する法人名義の不動産を売却するための流れ
事業の廃業や不動産の売却は、一定の流れに沿っておこなわれます。
廃業する法人名義の不動産の売却の流れは、清算人の選出、保有資産の売却、債権の取り立てと債務の返済、残余財産の確定と分配の4段階です。
それぞれの流れでどのような手続きをおこなうのかについて知っておけば、売却をスムーズにおこなえます。
清算人の選出
廃業時には、まず会社の解散を株主総会で決議しなければなりません。
会社の解散は関係者にとって重要な決定事項であり、株主総会では特別決議が必要です。
決議がおこなわれたら、2週間以内にその旨の登記登録をおこないます。
会社が解散すると、代表取締役はその役職を失うため、代わりに清算事務をおこなう清算人を選出し、登記登録しなければなりません。
解散の決議をおこなった株主総会では、そのための清算人も選出しておく必要があります。
保有資産の売却
解散を決議し清算人を決めたら、会社が所有していた保有資産を売却して清算する必要があります。
廃業する会社が所有していた資産は、売却または処分し、会社名義ではない状態にしなければなりません。
不動産については、何らかの形で売却して名義を変更し、所有権移転登記をおこなう必要があります。
所有権移転登記をおこなわない限りは清算を完了できないため、注意が必要です。
売却資産の損益については、最終的に残余財産が確定した時点で法人税の計算に含めます。
債権の取り立てと債務の返済
廃業する会社であっても、他の事業者や個人に対して債権を保有している場合は、債務者から回収することが可能です。
売掛金や未収入金など、債権があるのであれば、取引先に請求して回収しておきましょう。
一方で、自社側に支払いが終わっていない債務が残っている場合は、速やかな支払いが必要です。
廃業するからといって支払いを放置していても、債権者から請求が来るため、支払いは回避できません。
残余財産の確定と分配
不動産をはじめ、会社が保有していた資産の処分や債権、債務の整理が終わったら、残った現金が生じます。
この現金は、その会社の株式を所有していた株主に分配されるお金です。
これを残余財産と呼び、全体の金額を確認した後、1株あたりの金額を計算します。
そして、株主が所有している株式に応じて残余財産を分配します。
株主への残余財産の分配が終われば、会社の清算業務は終了です。
そのあと、清算結了登記をおこなうことで会社が消滅し、すべての手続きが完了します。
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まとめ
廃業を決めた法人名義の不動産であっても、抵当権がないものや債権者の許可が得られたものは売却できます。
第三者に売却する以外にも、社長自身による買い取りや会社そのものごと売却が可能です。
売却で出た利益については、債務の返済や最終的な株主への分配が必要になります。
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KYODOハウジング メディア 担当ライター
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