認知症などで判断能力が低下すると、不動産の売却手続きが難しくなることがあります。
その場合に利用できるのが「成年後見制度」で、後見人が本人に代わって売却を行うことが可能です。
この記事では、成年後見制度の概要や申立て方法、後見人による不動産売却の流れについて解説します。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
成年後見制度とはなにかについて
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な方々を法的に支援し、保護する制度です。
大きく分けて、任意後見制度と法定後見制度があり、それぞれの特徴を理解して活用することが重要です。
任意後見制度
任意後見制度は、判断能力が十分なうちに信頼できる方と契約を結び、将来判断能力が低下したときに後見人として財産管理などを代行してもらう仕組みです。
公正証書で契約内容を定めるため、誰にどのような支援を任せるかを本人が事前に選択できます。
ただし、契約締結時に本人の判断能力が十分であることが前提となり、早めの検討が大切です。
任意後見契約を結ぶ際には、公証役場での公正証書作成が必要となり、手数料や専門家への報酬など一定の費用が発生します。
しかし、将来的に判断能力が低下しても、信頼できる後見人が財産管理や介護サービスの契約を円滑に進めてくれるため、不測の事態に備えやすいです。
特に遠方に住む親族がいる場合や、相続争いが想定される場合には、早期に契約を検討することで混乱を防ぐことができるでしょう。
契約内容を細かく定めておくことで、本人の意向を反映したサポート体制を築きやすい点も大きなメリットです。
法定後見制度
法定後見制度は、判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人等を選任し、本人を支援・保護する仕組みです。
判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の三つがあり、それぞれ支援の範囲が異なります。
家庭裁判所が選任するため、迅速に支援体制を整えやすい一方、必ずしも本人の希望が反映されない場合があります。
そのため、任意後見制度と組み合わせることで、本人の意思をより尊重した支援が可能です。
成年後見制度を活用すれば、判断能力が不十分になっても本人の権利や財産を守り、安心して生活を続けやすくなります。
自身や家族の将来を考え、早めに準備することが重要です。
法定後見制度は、判断能力がすでに衰えた状態でも迅速に保護を開始できる点が大きな特徴です。
家庭裁判所が後見人を選任するため、親族間で意見が分かれる場合や、適切な候補者が見当たらない場合にも対応できます。
ただし、選任された後見人が本人や親族の意向と一致するとは限らないため、トラブルを防ぐために日常的な意思疎通が欠かせません。
法定後見制度には後見、保佐、補助があり、本人の判断能力によって支援内容が異なるため、事前の専門家相談が推奨されます。
▼この記事も読まれています
不動産売却後に税務署から届く「お尋ね」と呼ばれるハガキとは?
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
成年後見申立ての手続き方法と必要書類について
成年後見制度の利用を検討する際は、正しい手続きを理解し、必要な書類を揃えることが大切です。
申立ての手続き方法
申立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。
申立人になれるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、市区町村長などです。
手続きの流れはおおむね以下のとおりです。
●1.必要書類の準備
●2.書類の提出
●3.面接と審理
●4.審判と後見人の選任
審理では、本人の状況や申立ての理由などが確認されます。
必要書類や手続きの詳細は家庭裁判所によって異なることがあるため、事前に確認が必要です。
成年後見の申立てでは、家庭裁判所に提出する書類の記入漏れや不備があると受理されない場合があります。
そのため、事前に裁判所の窓口や弁護士、司法書士と相談し、必要事項を正確に把握しておくことが欠かせません。
申立ての際に提出する財産目録は、預貯金や不動産などを整理する必要があるため、手間がかかることも多いです。
面接では、本人がどの程度の支援を要するかと同時に、申立人が後見人として適切かどうかも判断材料となります。
必要書類
申立書や申立事情説明書、親族関係図などに加え、医師の診断書や戸籍謄本、住民票、財産目録などが必要です。
本人が既に成年後見等の登記を受けていないことを証明するため、登記されていないことの証明書も取得します。
さらに、本人の介護保険被保険者証の写しや収入・支出に関する資料などが求められる場合があります。
提出書類は本人の状況によって異なるため、詳しくは専門家に相談するとよいでしょう。
後見人選任を判断するため、医師の診断書は本人の認知機能や判断能力を客観的に示す重要な証拠となります。
診断書には現在の症状や経過だけでなく、今後の見通しが記載される場合もあり、審理の重要な判断材料となります。
さらに、戸籍謄本や住民票によって本人の家族構成や居住実態を確認し、財産目録で資産の全体像を把握することも欠かせません。
申立書や事情説明書は正確な情報を記入するために入念な確認作業が求められます。
▼この記事も読まれています
井戸がある土地を売却する際の適切な対応や売主の責任について解説!
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
成年後見人による不動産の売却方法について
成年後見人が被後見人の不動産を売却する際は、物件が居住用か非居住用かで手続きが異なります。
居住用不動産の売却方法
被後見人が現在住んでいる、または戻る可能性がある自宅などの居住用不動産を売却する場合、家庭裁判所の許可が必要です。
例えば、高齢者が施設に入所して自宅が空き家になった場合でも、将来戻る可能性があると判断されれば許可申立てが求められます。
許可を得ずに売却すると、契約が無効となる可能性があるため注意が必要です。
家庭裁判所に許可を申請する際は、売却を行う具体的な理由や売却後の生活設計を示すことが求められます。
例えば、施設入所に必要な資金の確保など、売却によるメリットと将来の生活への影響を合わせて説明しなければなりません。
許可申立ての可否は、本人にとって最適な選択と判断されるかがポイントとなり、必要書類と客観的な根拠を示すことが重要です。
被後見人が自宅へ戻りたい場合、代替の住居や介護環境をどう確保するかも検討しておくとよいでしょう。
非居住用不動産の売却方法
別荘や賃貸用物件などの非居住用不動産は、家庭裁判所の許可が不要とされます。
ただし、後見監督人が選任されている場合は同意を得なければなりません。
売却の正当性や被後見人の利益を確認し、市場価格を踏まえた適正な取引を行うことが大切です。
非居住用不動産の売却では、市場価格や周辺相場を調査し、後見人として利益を最大化するよう努める必要があります。
後見監督人が選任されている場合は事前の協議や同意が欠かせず、適切な価格査定を示すことで不当な取引を回避できます。
賃借人がいる物件を売却する際には、賃貸借契約の継続や敷金の清算方法にも注意し、売却後のトラブルを防ぐ工夫が重要です。
売却の目的や条件が曖昧の場合、親族や関係者から異議の可能性があるので、事前に方針を定めておくことが望まれます。
▼この記事も読まれています
不動産売却で必要になる登記の種類・費用・書類について解説!
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
まとめ
成年後見制度は、判断能力が低下した方が不動産を売却する際に、後見人が適切に財産を管理できるようにする制度です。
任意後見制度と法定後見制度の特徴を理解し、本人や家族の状況に合った方法を選択することが大切です。
不動産売却には家庭裁判所の許可が必要となる場合があるため、手続きの詳細を確認し、専門家に相談しながら進めると安心でしょう。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
▼ 物件情報が見たい方はこちらをクリック ▼
KYODOハウジング メディア 担当ライター
京都市・山科区で不動産を探すならKYODOハウジングにおまかせください!弊社スタッフが親切丁寧に皆様をサポートいたします。当サイトのブログでは不動産情報の記事を中心に周辺地域に関連した情報もご提供します。